ガエルと広い空

 一週間前になりますが、とうとう見れました。「モーターサイクル・ダイアリーズ
すばらしい。映画には、見たときは面白いと思ってもすぐに気持ちが冷めてしまう作品と、見たときよりから日が経つに連れて、どんどん心に染み入ってくる作品がある。これは完全に後者。
 南アメリカの広い空と大地の中を、ボロバイクに二人乗りして縦断の旅に出るチェ・ゲバラ。あの空を見ただけで、すでにちょっと泣きそうになりました。そのくらい風景と取り巻く色がいい。ひどい音をたてる強固なバイクもいい。そして何より主演のガエル・ガルシア・ベルナルがいい。初めて「アモーレス・ペロス」で見たときはガエルと認識せずに「この人かっこいいな〜」ぐらいだったけれど、後で見た「天国の口、終わりの楽園」で惚れて詳しく調べた時に「あれ、この人とあの人・・・あれ、同じ人?」と。これは私の好みに違いないと。顔だけじゃなくて演技にとても魅力がある。エデンの東のジェームスディーンのように、未成年のいしだ一成のように、若くて繊細な感じが上手いし似合っている。私「青春ロードムービー」に弱いのよね。でもこれは後半から特にドキュメンタリーのような撮り方になっていて、現在の時事と錯覚してしまうほどだ。ゲバラがどのように社会と関わり革命家になったか、その根底がしっかりと丁寧に描いてある。前半のキラキラがもう少し長くてもいいかなとは思ったけど、なんにせよ質の良い映画でした。