朧の森

07.1.15(月)18:00〜
松竹 いのうえ歌舞伎「朧の森に棲む鬼」
新橋演舞場
市川染五郎阿部サダヲ/秋山奈津子/古田新太




私の中で新しい扉が開いた。
歌舞伎寄りの舞台も新橋演舞場も初めてで少し不安があったけど、今や染五郎の虜だよ。いや、いのうえ演出が凄いのか?どちらも他を観てないからよくわからないけど、とにかくほんっと観て良かった。家に着いてもまだ動揺が残ってる。これだけの内容でこの値段なら安いくらい、だって舞台を覆う程の滝が流れてるんだものね。
休憩前の第一部ではとにかくサダヲの輝きが凄くて、改めて力のある役者さんだと思い知らされた。山猿のような野蛮な殺陣はとても似合っていて、軽快に飛び回る彼に釘付け。ついでにいつもの笑いも担当してるから、凝視と笑いの繰り返し。
歌舞伎演出の時の古田新太は最高にかっこいいと聞いていたけれど、それは本当だった。渋い!えぇ声!殺陣もセクシー!!あの澱みのない台詞回しとか堂々とした立ち姿、全てが男前。彼が居るだけで場に重みが加わる感じ。
そして市川染五郎。本域に立つ彼は、今まで私が抱いていた印象をがらりと変えた。あのやさ男風の顔とかいまいち好みではなかったのに、実際観たら素晴らしく格好良かった。特に休憩後の第二部では、徐々に狂気じみていくライに目を奪われ続けてしまい、ラストの場面ではその迫力に身動きが出来なくなってしまった。
演舞場自体もかなり立派でわくわくしちゃった。あの雨と滝には驚いたし、舞台装置や衣装なんかも相当お金かかってる匂いがぷんぷんして、この演出ならこのくらいの値段がついてても納得という豪華さ。最近思うのは、やっぱり高いチケットはそれなりに良い舞台である確立が高いんだなぁと。芸能人がいっぱい出てて明らかに彼らの出演料だというものは抜きでね。でも座席は傾斜が少なくて若干見えづらかったかな。
今回は節約して途中のスタバでマフィン買ったけど、もし次に行く事があればロビーで売ってるお弁当も買ってみたい。更にハイソサエティな世界へ。来ているお客さんは想像通りおばさまクラスが多かったけど、トイレに並んでる時に後ろで会話しているおばちゃんが「音楽もナウいのねぇ」と言っていてぶっとんだ。「ナウい」ってまだ生きてたんだね。続けて彼女たちは「なんで所々で拍手をしていたのかわからない」と。多分サダヲや古田新太に対して笑いと拍手が何回か起こっていたからその事だろうと思うけど、拍手に理由は必要ないよね。笑いでも感動でも「うわっ最高!」と思ったら勝手に拍手しちゃうよ。
カーテンコールは2回と思いきや、客電が付いた後にも鳴り止まず3回。しかも最後はスタンディングオベーション。全員じゃなくて会場の半数くらいだったけど、私もありがとうを表現したくて自然に立ってしまった。
とにかく、いまだに鬼気迫るような圧倒的なラストが脳裏に焼き付いてます。3時間が全く長く感じなかったし、もしチケットがあったらもう一度行きたいくらいだ。と思って一応調べたらもう無かったけど、良かっただけに1度の印象を大切にした方がいいかもね。これが今年最初の舞台なんて、素晴らしい!