カウリスマキのあかり

07.7.1(日)15:00〜
街のあかり公開記念
カウリスマキのあかり「浮き雲」
アキ・カウリスマキ/1996年/フィンランド
ユーロスペース

人の多い日曜の渋谷を通り抜け、ユーロスペースへ。映画の日だけど、そんなには混まないだろうと思って15分前に着いたら全くの見当違いで、狭いロビーには人人人。わーそうなんだ?そうだよね。前回は平日の昼間だったから会場直前でも余裕だったのか。。。でもお客さんはかなり上質揃いで、密かに嬉しくなってしまった。最前列の端までびっしり埋まるほど満席だったのに不快な物音をたてる人は一切いなくて、途中で寝てふらふらするような人もなく、みんな映画に集中していて、可笑しい場面では気持ちよく笑う。
この、「笑う」というのが素晴らしいと思ったわけで。そんなに彼の作品を知っているわけではないけれど、たまに登場するユーモラスな場面が肝になっていると思う。だってそれがないとただ重苦しいとか映像がお洒落なだけの作品になってしまって、魅力も半減してしまうものね。けれど、うっかりかしこまって観てしまうと、そこを楽しみ損ねてもったいない事に。今回のお客さんはそこらへんを心得てる方が多くて、私も安心して笑えました。


「浮き雲」は「敗者3部作」の1作目だそうで、本当に、落ちる所まで落ちる。フライヤーに書いてあった「ハッピーエンドで締めくくられる」という情報を先に知っていなかったら、しんどすぎて観ていられなかったかもしれない。お金のない話は他人事じゃないだけに、精神的にくるよ。聞いていたように、ラストは光が射して終わったので自分も救われた気分。
この作品も相変わらず色が綺麗。赤いコート・青いスカート・オレンジのシャツという、原色だらけのありえない服装でも、それがとても素敵に見える。役者は観る程に気になる。特にカティ・オウティネンは気になる。心の揺れのような繊細な感情も、彼女独特の表情のない顔で表現できる。面白い人だ。