DVD ラストショウ

ラストショウ [ 長塚圭史 ]
公演:05年7月 パルコ劇場
作・演出:長塚圭史
出演;風間杜夫永作博美北村有起哉中山祐一朗・市川しんぺー・古田新太

少し書くのが遅くなったけれど、ライブ休暇にはお借りしていた「LAST SHOW」のDVDも観ておりました。ひどく重いから観る日を選んだ方がいい、というアドバイスを受けていたのでこの休みに被せたわけだけれど、その言葉は的確でした。
こんなにいい舞台を逃してしまったのは悔しいと思う反面、後からでも観られて本当に良かった。むしろドラマや映画のような凝ったカメラワークのお陰で、また舞台とは違う新しい作品になっていのではないかと思った。






「重い」とは言ってもそれがどういった類いの重さなのか、その中に喜怒哀楽どの感情が入る作品なのか何も知らずに観始めて、冒頭部分のぴりっとした演技で「ゆるくはないんだな」という事だけは把握。
中山さんは相変わらず素敵だなとか、永作博美はいつまでも綺麗だなとか思いながら部屋でのやりとりを観ていたが、そんなぼんやりした感情も風間杜夫が登場してきてからは一遍してしまった。あの緊迫した空気は何なんだ。彼の存在が本当に恐くて、息をするのも忘れてしまう程。今まで彼の演技をちゃんと観た事がなかったけれど、あの迫力は凄まじくて、劇場ではなく自分の部屋で観ているだけの私ですら呑まれた。
そして古田新太が罪、というのか性癖を告白するシーンも負けずに圧倒的だった。彼が本気の演技をする姿はたまらなく好きだ。よくわからないけど泣いた。あと余計な音を絞った抑えた演出も、日本の恐怖映画と同じで精神的に追いつめられる。これを生で観に行ったら、作品の気迫で終わった後はしばらく席を立てないんじゃないかな。
最後にずるりと胎児のしんぺーさんが出てくるのは笑ったけど、衝撃的な登場をするだけあってとても重要な役回りなのね。美味しいところを持って行ってるよ。
DVD作品としては「12台のハイビジョンカメラを駆使」した結果、恐さがより一層深くなっているのだと思う。生の迫力に映像はかなわないけれど、映像にしか出来ない事でまた新しい作品に作り替えているんだなと。とにかく面白くて、長塚圭史の作品がやっぱり好きだと確信した。