毎日使っている地元の駅は、少し前から大規模な建て直しをしている。私はこの利用者数にそぐわない狭くて汚い駅がずっと嫌いで、1日も早く大きな駅に生まれ変わって欲しいと思っていたけれど、苦虫女の中に映り込んだ風景の半分はすでに無くなっていて、毎日観ていたあの景色を好きだと思ったことは一度もないのに、もうすでに失われたものだと思ったら、急に愛おしく感じた。もうすぐ改札の周辺も着工して、あの映画に切り取られた駅構内の風景は全てなくなってしまうだろうけれど、こうやって映像に残ったことで、この先いつでも私が見てきた風景を蘇らせることができるのは、とても幸運で美しいことだなぁと思ったよ。
何の特徴もないこの街も、結局私は好きだった。