良い映画と良いナンパ

 今日で正月休みも終わりなので、午後から映画を見に行った。ハウルとかは空いたらでいいや〜と思っているので、渋谷のユーロスペースでやってる「ベルリンフィルと子どもたち」を。直前にネットで探したものだけど、わりと良かった。面白いとかは別にして、生きる上での様々な教訓と示唆と啓示に満ちていた。普段はこういう類の言葉は安っぽい押しつけに感じられて嫌い、と言うかむしろ拒絶するタイプですけど、彼らが発する言葉にはそういった所がなくて、そのまま信じられた。今までも共感する言葉というのはちゃんと存在したし、それが何の差かはとても明確に出ている。それを言っている人間がどれだけの人生経験を積んでいて、その言葉はどれだけ体験に基づいているか。その意味で今回のベルリンフィルオーケストラの指揮者や、子ども達にダンスを教えている人々の言葉は全うだし力がある。だから私はいくら金八から説教されても何も感じないし、そこらに溢れかえる自己啓示本には嫌悪感すら抱いてしまうのだ。
 そんな映画を見たあと喫茶店に入り1人コーヒーを飲んでいたところ、隣りにいたおじさんに話しかけられました。「あのー、すいません。オペラシティはどこにあるのでしょうか?」見た目は普通のおじさん、40前半くらいかなぁ、至って純粋な「質問」だったので私も新宿ですと、普通に答えてあげました。彼はお礼と共に「それって中には何があるんですか?ショッピングとか、食事とか?」と続けます。「いや〜ショッピングと言うより、展示とかコンサートがメインですかね。食事はできると思いますけど。」と、あやふやな知識を披露して差し上げました。彼は私を「親切な人間」と評価したのでしょう。なぜ私にその様なことを聞いたのか、今何をしていたのかなどを気さくに話しかけてきました。(つまり彼は外資系の会社で、オペラシティは外国人のお客さんのリクエストで下調べをせねばならず、今は英語の能力をアップさせる為にセサミストリートのDVDを買った帰りだそうです。)まぁ時間はあったし話をするくらい害はないだろうと、暫くの間見ず知らずのおじさんと喫茶店で談笑。去年仕事で行ったと言うヨーロッパの国々の写真を見たり、外人さんとビリヤードした話をしたりと、仲良し親子のような時間を過ごしました。20分ぐらいたったでしょうか、私がそろそろ帰りますと言うと「どうですか、もしよければメールでも。今度ビリヤードでも一緒に。」と・・・う〜ん、やはり。とりあえず「ビリヤードはやった事ないんで。楽しかったです。」と笑って別れを告げると、向こうもしつこく押したりせず普通に別れました。たぶん一応誘ってはみたけれど、本当にただ話相手が欲しかっただけなんだろうなと思わせる、感じの良いナンパでした。