ナルニア国物語

子供の頃から何度となく繰り返して読み、今でも信じている「ナルニア国ものがたり」。映画版をやっと見てきましたよ。


非常に強い思い入れがある分、いろんな感情があって一言では何とも言い表せないです。見ているあいだ中ボロボロ泣いてましたが、それはストーリーに対する感動ではなくてあの世界が映像として目の前に蘇っている感動でした。
しかしだからと言って、視覚的に満足したかというと話は別です。映画化するにあたってどうしても不安を拭いきれなかったので「原作とは別物だと思って観よう」と心に決めていましたが、実際観るとやはりそんな訳にもいきません。タムナスさんの傘が白いのは雪が積もってるからで、挿絵での傘自体は黒だよね?とか、ピーターがもうちょっと凛々しい顔の方が…とか、物言う獣たちはあんなにコミカルな表情でいいのか?とか、なによりもアスランの神々しさが足りないよー!とか、どうでもいい所から重要な部分まで気になる箇所がかなりありました。中でもやっぱりアスランがなぁ…黄金に輝くたてがみには程遠いし、声がイメージとまるで違うんだもの。もっと地を這うような、空間を満たすような堂々とした声が良かった。
ストーリーも当たり前ですけどかなり端折ってましたしね。あと原作よりも現実世界での戦争をリアルに描いていたのが驚きました。冒頭のデンジャーシーンにちょっと動揺。ただ“この世界があるうえでの別世界”というのは指輪物語にはないとても大切な設定なので、そこを強調したのはとても良いことと思います。現実世界があるからこそ戦争に対してのメッセージにもしっかりとした重みが加わっていて、それが何をしても許される普通のファンタジーとの違いではないでしょうか。
でも果たして原作を読まずにいきなり映画をみた人はどんな感想を持つのか、少し不安です。ロード・オブ・ザリングと比べると何となく映像的に陳腐に見えるし、ストーリーもキリスト教を土台とする勧善懲悪の形態なので、安っぽく感じるかもしれません。この物語はベインズの挿絵が非常に重要で、やはり実写はこの挿絵を越えることは出来ないのでしょう。一層のことCASSHERNみたいな手法で作ったらどうだったんだろ。あれはストーリーはともかく、CGと実写の融合という点で非常に優れていたと思います。だってビーバー夫婦やキツネの顔がなぁ…表情豊か過ぎというか、アニメっぽさ全開なんだよなぁ。どうしてもディズニーがちらついてしまいました。大人はともかく、子供には是非始めに原作を読んで欲しいです。
まぁこういった空想世界なんて1人1人イメージが違うわけだし、ぴったりなはずがないけどね。白い魔女は素敵だったし、エドマンドは将来かっこよくなりそうだし、スーザンもルーシィもかなり合っていたと思います。全7巻やるのかわかりませんが是非最後まで作って欲しいし、公開したら必ず見に行きますよ。

ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉 (岩波少年文庫)

ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉 (岩波少年文庫)