リレキショを読みました

リレキショ (河出文庫)

リレキショ (河出文庫)

私がストーキングしているkanteraさん*1宅でかなり前に拝見して以来ずっと気になっていたのですが、やっと読む機会ができまして。だってふと思い出して買おうと思っても、小さい本屋くらいじゃ河出書房自体ほとんど置いてないんだもの…。


内容としては、とても優しいけれど適温でべたつかず、非常に読みやすかったです。設定は本来おとぎ話のようなのに、全体を包む夜のしめっとした空気や「僕」の周りにいる人々のリアル感が現実っぽさも出していて、「まるっきり夢の話だよね」とも思えない。むしろ「あぁ、こんな事もあるかもな。あったらいいな。」なんて思ってしまう。
何よりウルシバラの書く手紙がとても良い。気が利いていて、でも決して大人の文章ではなく堅実で地道で狭い世界に住む浪人らしさが出ている。こんな手紙を誰かに書いてみたいし、逆に誰かから貰ったらその人に惚れてしまうな。でもそう言えば私の浪人時代はとっくの昔に過ぎてしまっていたよ。ウルシバラにいちいち感心するところなんかが、若い感じでとても好きです。この著者の他の作品も是非読んでみたいと思いました。