夜は短し歩けよ乙女

この世界に入りたい

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

ひねくれ者精神のせいで世間から遅れに遅れて手に取った本は、奇跡のように愛おしかった。全ページにカラーの挿し絵が付いているかのように、文章から色が溢れたよ。
浮世絵のような、1トーン落ちた原色の百鬼夜行。又は透けるような白昼夢。


全ての言葉が両手ですくい上げて食べちゃいたいくらい愛らしいのに、全くわざとらしくないのが素晴らしい。黒髪の女の子を可愛い印象にしようと思って言わせた言葉ではなくて、作者の中にはこの世界も現実としてあるみたい。
「本の面白さ」の半分は、文体が担っていると確信。